3:歯科医師から医学部編入を活用し医師免許を取得したWライセンス取得者
が持ちうる将来的可能性と活動の拡大領域ならびに発揮できる独自性について
将来的可能性について
歯科医師の医療における担当分野は顔面領域の治療です。顔面領域の治療は、複数の科が協力して行われることが多いため、歯科医師と医師の両方の免許のダブルライセンス保有者は、 治療計画立案から治療までを他科の依頼なしで済ませることすらできる可能性があります。
顔面領域に関わらない科であっても、現在口腔と全身の健康の関わりが次々と明らかになってきています。口腔の衛生状態を改善することで手術の術前術後の患者の健康状態の維持を目指す「周術期医療」をはじめとした領域で中心的な役割を果たすことが可能です。
活動拡大領域について
日本では肺炎が、がんや心臓疾患に次ぐ大きな死因として、再浮上してきました。肺炎が死因として再び深刻視されるようになった背景に誤嚥性肺炎の問題があるのは周知の通りです。社会の高齢化が進むと、嚥下力が下がる人はどうしても増えてきます。こうした状況化で、歯科医師と医師の両方の免許を持つ方は、この疾患に対し誰よりも迅速で無駄のない治療を提供できる存在になります。また、口腔外科医の場合日本は9割近くが歯科医ですが、医師免許を取得することでこの診療科内での医療行為の幅が大きく広がります。もちろん、開業医としても地域医療に大きく貢献できます。
発揮できる独自性について
歯科医師と医師のダブルライセンスを持つ人は、何と言っても顔面領域でその強みを発揮されます。耳鼻咽喉科や形成外科の勉強をされた方の場合は特に特性が生きてくることになります。通常口の中にできた腫瘍を切除した場合、縫合するのに皮膚などが足りなくなると形成外科に仕事が委ねられるなることが多いのですが、この流れを一人で提供できるようになります。口から鼻にかけての部分の腫瘍なども、口腔外科と耳鼻咽喉科の共同作業となることがやはり多いのですが、一人で完結できる可能性も生まれます。